【動画】大阪・岸和田の浜言葉について語る西野清和さん=鳴沢大撮影
現場へ! 全国方言サバイバル①
西日本出身の学生が多い関西大(大阪府吹田市)。大阪弁も混ざった「関西弁を話す」という滋賀出身の大学院生、坪井菜央さん(24)に、関西出身ではない人が「なんでやねん」などとまねることについて尋ねると、「音の波が変なので……」。どうにも戸惑うという。
この縁もゆかりもないことばを使うふるまいを「方言コスプレ」と名付けたのは、方言研究者で日本大文理学部の田中ゆかり教授(59)だ。「実は大阪や九州などの方言には、ドラマや漫画で定着したステレオタイプがある。会話でそれを『まとう』ことで演出的に使う」
田中教授によると、大阪弁だと「冗談好き」「ケチ」「食通」「派手好き」など大きく七つあり、会話シーンにあわせて身に着けるのだという。ただ今や「不適切」を避ける時代。漫画でもネガティブな活用はめっきり減り、最近は「ケチ」などのイメージは抜け落ち始めているという。
とはいえ、全国でまねされるなど強さが際立つ大阪弁。テレビ放送や1980年代以降の漫才ブームで広がったというが、果たしてそれは大阪弁なのか。大阪天満宮文化研究所の高島幸次所長(75)は、芸人が所属する会社名を冠した「吉本語」だという。「大げさ。面白さを強調し過ぎて、けったい(奇妙)なやつになっているんです」
芸人の言葉を「大阪共通語」と表現するのは、方言学の関西大・日高水穂教授(56)だ。その背景には、大阪の歴史が大きく影響しているという。
大阪府の方言は一般的に摂津…