2030年度にも導入される次期学習指導要領の改訂に向けた議論では、教育課程の柔軟化が、大きな柱の一つとなっている。昨年度から特例校制度で総合的な学習の時間を倍以上に増加し、全小中学校で探究「シブヤ未来科」を展開する東京都渋谷区の取り組みをみる。

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 東京都渋谷区の小中一貫校、区立渋谷本町学園の視聴覚室に、昨年11月、全国から70人を超える教員らが集まっていた。視察の人々だ。

ホワイトボードや端末を使い、探究した内容を議論し合う児童ら=2024年11月18日、東京都渋谷区立渋谷本町学園小学校、宮坂麻子撮影

 昨年度から渋谷区では、全区立小中学校で探究「シブヤ未来科」を始めた。各教科などの授業時数を1割まで減らせる「授業時数特例校制度」を活用。削減分を総合的な学習の時間に上乗せし、従来の倍以上の約155時間まで増やして探究的な学習に充てることにしたのだ。小学校低学年から午前は主に教科学習、午後の授業を中心に「シブヤ未来科」が展開される。

 学校だけの取り組みではない。地域や企業、専門家、保護者らともつながって探究学習をすることが前提。昨年9月にはPTAの有志らを中心に探究学習を支援する一般社団法人「シブタン」も立ち上がった。

 学習は3段階に分かれる。最初は、企業や地域の「体験」も交えながら、情報収集や課題設定、スキルを学ぶ「探究基礎」に取り組む。その後、クラスやグループで共通のテーマで探究する「テーマ探究」へ。最終的には「My探究」として一人ひとりが興味関心に合った探究を深める学習に発展させる。

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