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火災にあう前の丸昌=2016年8月ごろ、仙台市青葉区中央1丁目、ドリームリンク提供
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 千円で酔える通称「せんべろ酒場」。その仙台の聖地とも呼ばれた「駅前酒場 炭火もつ焼 丸昌」が4月12日に復活する。火災で店舗が焼失してから2年4カ月。東日本大震災直後に復興支援酒場として始まった、のんべえのよりどころが帰ってくる。

 JR仙台駅西口近く、旧さくら野百貨店北側の小さな路地には、帰宅時間帯になるといつも行列ができた。だいこん、たまご、はんぺんに厚揚げ……。おでんはどれも一つ50円。県内すべての酒蔵の銘柄をそろえた地酒が、並々と注がれるコップ酒は一杯300円前後。その日の朝にさばかれた新鮮な豚もつを使うもつ焼きは1本140円で、ゆでた「もつ刺し」も評判だった。(価格は税抜き)

 客は小さな机を囲むかカウンター席に肩がぶつかるような間隔で座り、壁にはびっしりとメニューが張られていた。もつ焼きは部位ごとの木札が完売すると裏返され、赤文字の「完売御礼」に変わる。そんなレトロな雰囲気も、年代を問わず客を集めていた。

 丸昌は千円で酔え、おなかまで満たせる、仙台を代表する文字どおり「せんべろ」の名店だった。

 東日本大震災から半年後に開…

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