移転前の琉球大学の医学部と付属病院。約18ヘクタールあり、公共性を踏まえた跡地利用が求められている=沖縄県西原町

 国家公務員の給与水準となる人事院勧告(人勧)は昨年度に続き大幅な引き上げが見込まれています。一方、2004年の法人化後も慣行として人勧に準じて賃金を決めてきた国立大学では、人勧の適用タイミングからの遅れが目立ち始めています。背景には、財政難にあえぐ国立大学の苦境があるようです。

 職員宿舎の敷地、病院委託職員の駐車場、ポンプ場跡……。琉球大(沖縄)は今年度、那覇市内など6カ所の土地を売る計画を立てる。

 同大は今年、西原町の医学部と付属病院を宜野湾市に移転し、約200億円を借りた。返済が重くのしかかり、加えて、人件費や物価の高騰。土地売却はそうした資金不足に対応するものだ。

慣行のはずの「人勧準拠」ができない

 厳しい財政状態は職員の賃金にも暗い影を落とす。国は04年、国立大学の自律性を高めるため、法人化に踏みきり、国の組織から独立させた。国家公務員ではなくなり、労使交渉で給与改定ができるようになったが、同大では、法人化後も原則として人勧に準じて賃金を決めてきた。

 しかし、国家公務員の場合、毎年夏に出される人勧が年度初めにさかのぼって適用されるが、同大では今年1月からの適用に。半年以上の遅れが生じた形だ。

 今年の人勧は、公務員の採用難を背景に昨年度の平均2・76%を上回る賃上げが見込まれる。その場合、人勧に準拠できるかどうかについて同大は「ハードルは高い」(総務課)とみる。

 なぜ財政状況が厳しくなっているのか。

「売上高」は1.4倍なのに……

 同大の売上高にあたる「経常…

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