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大谷翔平選手が出場した大リーグワールドシリーズ(右)とプロ野球日本シリーズ。同時期にあり、フジは日本Sの裏番組でWSを放映した

 プロ野球日本シリーズ(日本S)の取材パスをフジテレビから没収したことなどは、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の恐れがあるとして、公正取引委員会は11日、日本野球機構(NPB)に再発防止を求める警告を出した。

 公取委の発表によると、フジは昨年の日本Sを他局が中継した同時刻に、大谷翔平選手が出場した大リーグ・ワールドシリーズ(WS)のダイジェストを放送。NPBは「信頼関係が著しく毀損(きそん)された」として、フジの日本Sの取材パスを回収した。パスの新規発行もせず、フジは6戦まで続いた日本S全試合の取材ができなかった。

 NPBはさらに、フジが放送を予定していた日本S第3戦について、放送権の許諾を変更しようと他局やスポンサーと調整していた。

MLBとの取引に対する「制裁」と認定

 公取委は、二つの行為が、NPBにとって野球コンテンツ市場の競争相手である大リーグ機構(MLB)とフジが取引をしたことに対する「制裁」と認定。MLBとの取引を含め、放送各局による自由なコンテンツの選択や番組の編成を萎縮させたとして、独禁法が禁じる「取引妨害」に当たる恐れがあると判断した。

 一方で、取材パス回収も放送権の変更調整も、日本Sでの限定的な影響だったなどとして、行政処分ではなく、行政指導である警告にとどめたという。放送権の変更は実現しなかった。

 NPBは12球団を統括する組織で、日本Sの放映権を管理している。NPBは11日、「公取委の判断は、法解釈上明かな誤りがあり、重大な事実誤認である」などとするコメントを出した。

日本野球機構とは

 プロ野球12球団を会員とする一般社団法人。1948年設立。野球水準の向上や野球事業を通じた社会貢献などを目的とし、プロ野球の試合日程の編成などを担う。日本シリーズを主催し、オールスターゲームの開催にも関わり、その放映権を保有・管理している。12球団がNPBに中継局を推薦し、日本シリーズ進出球団が推薦した局が中継権を得る仕組み。

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