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勝ち越し満塁本塁打を放ち、チームメートと喜ぶ中野西の木村(手前)=2025年7月9日、セキスイハイム松本

 (9日、第107回全国高校野球選手権長野大会2回戦 中野西6―2上伊那農)

 打った瞬間は「やばい、打ち上げた」と思ったという。打球はぐんぐん伸びて、右翼の芝生席で跳ねた。中野西の木村壮(3年)が公式戦で初めて放った本塁打は、勝ち越し満塁弾。ダイヤモンドを回りながら、拳を突き上げた。

 2―2の七回だった。2死満塁。1ボールからの2球目を「つなぐつもりで」振り抜いた。「打った感触が全然なくて」。チームの決まり事の全力疾走をしていたら、大歓声が聞こえて柵越えに気付いた。

 エースとして、投げては一回に球速141キロを計測し、14奪三振で2失点完投。打っては4打数4安打4打点。父でもある徹監督の「チームの大黒柱」という評価通りの活躍だった。

 将来の夢は板前。鮮魚店で働いていた祖父から包丁を譲り受け、家で魚をさばくこともある。「野球も料理も熱中したら楽しいのは一緒ですね」。今は最後の夏に全力投球。「この夏を仲間ともっと楽しみたい」

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