水俣1956→2025

 水俣病が公式確認されてから1日で69年を迎えた。犠牲者慰霊式が同日、熊本県水俣市で営まれる。昨年は慰霊式後の懇談の場で、環境省職員が患者らの発言を遮る「マイクオフ」問題が発生。あれから1年、昨年10月に着任した浅尾慶一郎環境相は式典で何を語るのか。

 水俣病は、原因企業チッソの水俣工場がメチル水銀を含んだ廃水を不知火海に垂れ流したことで起きた。1956年5月1日、水俣保健所に患者の発生が届けられた。式典は92年以降、ほぼ毎年、ほぼこの日に開かれている。昨年は日帰りの日程だったが、今年は、前日の4月30日に現地入りし、患者らの団体と懇談を始めている。

 昨年の「マイクオフ」問題をめぐっては、当時の伊藤信太郎環境相が現地を訪問し謝罪。さらに後日再懇談も開いた。団体側の中にも一部で伊藤氏の姿勢を一定評価する声もあったが、伊藤氏は10月に交代、直後の衆院選で落選した。浅尾氏が環境相として式典に出るのは初めてだ。

 浅尾氏はすでに30日に現地入りし、団体側と懇談し、公式確認のきっかけとなった患者も訪問した。30日の懇談の中では、環境省の課題への取り組みが進まないことへの批判も相次いだ。

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