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仁徳陵古墳の知られざる歴史が詰まった公文書類=宮内庁宮内公文書館蔵

 国内最大の前方後円墳にして堺市のランドマーク、仁徳陵古墳(大山古墳)。一般市民にとっては宮内庁が管理する禁断の聖域だが、地元の人々にとっては昔から日々の生活に密着する身近な存在だった。世界遺産登録から5年。その深い絆に、改めて注目が集まっている。

 10月、関西大学堺キャンパスで開かれたシンポジウムは、この巨大古墳を地域住民の視点で読み解く一風変わった趣向。宮内庁の宮内公文書館が持つ文書類を通して近代以来の保存活用の歩みが報告された。

 天皇をはじめとした皇室関係の古墳を陵墓という。長く放置されてきたものも多かったが、幕末の文久の修陵や明治政府の管理強化を通して整備が進み、庶民には神聖にして侵すべからざる禁足地となった印象がある。だが、明治期の陵墓と地域社会とのかかわりを公文書から読み解いた関西大大学院の石川雄大さんは「両者は特殊な関係にあった」と指摘する。

 たとえば、周辺の村が宮内大…

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