朝日新聞が取材で入手した千葉県文書館作成の資料からは、多くの公文書が所在不明や誤廃棄になっていたことがわかる
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 永久保存が必要な「歴史公文書」を含む少なくとも139冊の公文書の誤廃棄や所在不明(一部不明も含む)が判明した千葉県の公文書管理の実態。他県では、公文書にどう向き合っているのか。

 「千葉県の公文書管理の仕組みは全国的に見ても先進的だと言えます」

 学習院大学大学院(アーカイブズ学)で、文書管理のあり方を研究する認証アーキビストの坂本昭彦さん(28)は、こう指摘する。

 公文書管理制度を研究し、特に都道府県の制度の現状に詳しい坂本さんによれば、5年、10年、30年といった公文書の保存期間の満了時に、文書作成の経緯を知らない職員だけが評価・選別に関わる旧来の役所の方式から、中身を熟知する作成課が一義的に判断する制度を採用しているのが、一つの理由という。

 これは、2011年施行の公文書管理法の考え方を取り入れたもので、全国でも採用している都道府県は半数程度にとどまるという。加えて、保存期間が満了する段階で、外部有識者が改めて歴史的な目で評価・選別するのが、千葉県が18年に導入した「歴史公文書判定アドバイザー」制度だ。

 こうした仕組みを導入している都道府県はさらに少数派。県は条例を制定せず、規則などで対応しているが、文書管理の仕組みから見れば「先進県」にあたるという。

三重県や和歌山県の事例から見えることは

 では、何が足りないのか…

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