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告発者のゆくえ 公益通報者保護法改正

 「お客様のため、会社のためを思って通報したのに、まさか、こんなにひどい処遇を受けるなんて」

 こう話す男性は、大塚食品(大阪市)で25年以上働くベテラン社員。主に滋賀県の工場で品質管理の仕事をしてきた。昨年5月、公益通報を理由に配置転換され、理不尽な環境での勤務を強いられて、うつ病を発症したとして、同社を相手取り、220万円の損害賠償を求める民事訴訟を大津地裁に起こした。

 男性は、「公益通報を理由に不利益な配置転換命令を受けた」と訴える。一方、大塚食品は、「通常の人事異動だった」として、通報と配転との因果関係を否定している。

 訴状などによると、2021年11月、滋賀工場でポリ袋内の粉末製品の材料に異物(後に袋の製造に使われている添加剤であることが判明)が混じっているのが見つかった。材料を一時的に保管していた袋も食品用の袋として基準に合っているかどうか確認していないものを使っていた。男性は上司に報告したが、対応は不十分と映った。

 翌22年6月、男性は滋賀県食品安全監視センターへ通報した。県は調査に入り、問題点を従業員の間で共有し、衛生管理に気をつけるよう注意喚起した。

「厳正に対応を」監督機関に連絡

 だが、その後の会社側の対応…

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