兵庫県庁=神戸市中央区

 兵庫県の斎藤元彦知事らに「違法行為」があったとする内部告発をした元西播磨県民局長(60)=停職中=が7日夜、同県内の住宅で死亡しているのが見つかった。自殺の可能性があるという。知事の疑惑を調査するために県議会が設置した「百条委員会」で、19日に証言を予定していた。組織内の不正の改善・是正につながる内部告発は「公益通報」と呼ばれ、法律で、告発者は不当な扱いを受けないよう保護されている。元県民局長が亡くなった経緯は不明だが、安心して告発できる環境をどう整えるか、長年の課題も改めて浮き彫りになった。

 この元県民局長は3月、斎藤知事の「違法行為等について」と題した文書を一部の県議や報道機関に配布した。文書では、業者からの物品の授受や県職員に対するパワハラなど7項目を挙げ、元県民局長は4月、県の公益通報窓口にも同じ内容を通報。だが、県は5月、公益通報窓口とは別に県庁内部で調査し、告発内容を「真実ではない」と判断。知事に対する誹謗(ひぼう)中傷にあたるほか、県のパソコンの私的利用も明らかになったなどとして、元県民局長を停職3カ月の懲戒処分とした。

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 2006年施行の公益通報者保護法は、公益通報者への不利益な取り扱いを禁じており、県の懲戒処分は同法違反の懸念をはらむ。斎藤知事は文書を「うそ八百」などと否定したが、そう言い切れない事実も出てきた。斎藤知事は第三者機関での再調査を表明したが、県議会の一部から「不十分だ」との批判が上がり、強い権限で告発内容を調査する百条委員会が設置された。

 「懲戒処分は時期尚早だ。公益通報の保護の観点、百条委の設置があるのだから、懲戒処分は保留すべきだ」。6月27日にあった百条委の会合では、委員の県議からこんな意見も出た。この日、元県民局長に対する証人尋問も決まり、今月19日に予定されていた。県職員を対象とするアンケートも計画されている。

 公益通報制度に詳しい光前(こうぜん)幸一弁護士は「県の懲戒処分には拙速さを感じる」と話す。

 県が調査すること自体には問…

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