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数多くの重要な会議が開かれた客間には、日独伊三国同盟締結につながった1940年の「荻窪会談」当時のしつらえが再現された=2025年1月17日午前11時33分、東京都杉並区荻窪2丁目、魚住ゆかり撮影
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 近衛文麿元首相(1891~1945)の旧邸で国指定史跡の「荻外荘(てきがいそう)」(東京都杉並区荻窪2丁目)が、六十余年ぶりに当時の姿を取り戻した。一般公開されて約1カ月。細部までこだわって再現された姿が人気を集め、連日多くの見物客でにぎわっている。

 築地本願寺を手がけた建築家、伊東忠太の設計で1927年に建てられた住宅で、37年に近衛が譲り受けた際、親しかった元老・西園寺公望が荻外荘と名づけた。近衛は初めて首相となったこの年から、計3回首相を務め、45年に自決するまでここで家族と暮らした。

 60年、木造平屋建て約600平方メートルのうち、玄関棟や客間棟など計約200平方メートルが豊島区内に移され、天理教の施設となった。杉並区は2014年、残る居住棟など約400平方メートルと敷地約6千平方メートルを遺族側から取得。18年には天理教の施設も取得し、復元を進めた。

 調査のために解体した後、柱やはりなどを福井県の永平寺に運び、宮大工とともに組み方を確認。二つをぴたりと合わせ、一つの建物に戻した。

「荻窪会談」しつらえ再現

 多くの重要な会議が行われ、昭和史の表舞台に何度も登場した建物の歴史を体感できるよう、当時のしつらえの再現にも挑んだ。

 応接室には、3Dプリンター…

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