昨年12月にシリアのアサド政権が崩壊し、8日で半年。10年以上にわたる内戦で「最激戦地」と呼ばれた第2の都市アレッポに記者が入った。反体制派の拠点地域だった東部などで破壊の跡が色濃く残る一方、中心部は修復が進み、人々は復興への期待を高めている。
柔らかな日差しが、アーチ状の天井に設けられた小窓から差し込む。世界最古の市場の一つとされる世界遺産・旧市街のスーク(市場)。香辛料や絹製品、日用品などを扱う商店が所狭しと並ぶなか、老若男女が買い物を楽しんでいた。
紀元前から地中海とメソポタミア地方を結ぶ交易中継地として栄えたアレッポは内戦前、国内最大の商業都市だった。だが、2011年、中東の民主化運動「アラブの春」を背景に反政権デモが拡大し、泥沼の内戦に。政権側は反体制派が最大の拠点としたアレッポに攻撃を繰り返し、16年に完全に制圧した。
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過激派組織シャーム解放機構(HTS)などは昨年11月から12月にかけて、アレッポと首都ダマスカスを続けざまに制圧。父子2代で半世紀以上続いたアサド政権を崩壊させ、暫定政権が発足した。
17年に朝日新聞記者がアレッポを訪れた際は、スークの大半が戦闘で焼失したままで、内部はすすで真っ黒だった。近年は国連などの支援で徐々に修復が進み、スークは再び市民らの生活の中心地になりつつある。5月に隣国トルコから帰国したばかりというハナ・アブカドロさん(35)は「生活はまだ厳しいが、スークが再びきれいになってうれしい」と話した。
「今世紀最大の人道危機」 残る破壊の跡
シリア第2の都市アレッポで…