米国のインフレ(物価高)が鈍化したタイミングで起きた円の急騰は、為替介入だったのか。市場では円高ドル安の流れに乗った「追い打ち」介入との見方が強まっている。政府は介入の有無を明らかにしていないが、前回、介入したときとの共通点も浮かぶ。
きっかけは日本時間11日午後9時半、米国の6月の消費者物価指数(CPI)の公表だった。結果は市場予想を下回る前年比3.0%上昇だった。インフレの鈍化が意識され、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げを開始するとの観測が拡大。金利が下がりそうなドルが売られ、円高ドル安方向に動いた。やや間をあけてから、一気に157円台前半まで急騰した。CPI公表前の1ドル=161円60銭前後から、30分ほどで約4円も上昇した。
この動きをどうみるのか。SMBC日興証券の野地慎氏は、為替介入があったとみる。対ドル円相場は6月下旬に160円台をつけて以降、1986年以来の円安水準を更新し続けていた。野地氏は「投機的すぎませんか、というメッセージであり、良いタイミングだった」と話す。野村総合研究所の木内登英氏は「円高の流れをとらえた介入で、円の押し上げを狙った可能性が高い」と語る。
これで円安の流れは止まるの…