「SMILE―UP.」(スマイルアップ)のウェブサイトでは1カ月に2回、被害申告した人や、補償を受け取った人の人数などが公表される

 旧ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.(スマイルアップ))が創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害を認めて7日で2年が経った。「被害者の救済」とは何か。この問題を2年以上、取材してきた記者が考えた。

 「救済」とは、補償金を受け取った人の数だけで量れるものなのだろうか。

 スマイル社のウェブサイトでは1カ月に2回、「被害補償の状況」として、被害申告者数や補償を受けた人数などが更新される。1年前と比べると、被害を申告した人は1千人を超えたもののほぼ横ばいで、補償金を受け取った人も数十人増えたにとどまる。私たちが知り得るのは、これらの「数字」しかない。いつどんな被害があったのか、被害の全容は公表されておらず、救済について読み取れることはあまりに少ない。

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 だが、この1年で当事者の思いの一端が訴訟という形で現れ始めた。訴えているのは、そもそもスマイル社の補償の枠組みに納得できなかったり、補償の対象外とされたりした人たちだ。訴えからは、当事者が求める「救済」が、金銭の補償だけではなく、対話や被害の全容解明など、多様だと分かる。

弁護士たてず法廷で1人で向き合う当事者も

 一方、スマイル社は、補償の…

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