再生可能エネルギーの導入と環境保護の両立をめざし、青森県が立地を規制する「ゾーニング」や課税を検討している。年度内の関連条例制定をめざしていて、12月中旬に案を公表する予定だ。都道府県レベルでのゾーニングは初めてで、既存事業も含めた課税は前例がない。特に風力が盛んな青森での取り組みについて、識者へのインタビューシリーズを始める。初回は、青森県大間町の風力発電の再稼働にも携わった「再生可能エネルギー推進機構」の三宅成也社長(53)に聞いた。
――青森県大間町の風車「まぐるんちゃん」の再稼働に携わりました。
「市民らからの出資で建設費を賄い、2006年に運転を始めた『市民風車』でしたが、19年に故障して修理できないままでした。撤去するにしても1億円近く掛かる。何とかならないかと相談されたのが始まりです」
「実は、同じことはこれから各地で起こりえます。原発事故後に導入された再エネの固定価格買い取り制度(FIT)の適用期間は20年。事故前の別制度下に建った風車も多く、あと数年で『卒FIT』する風力は現在稼働している全体の半分以上、約250万キロワット分あります。手入れをし、新たな電気の売り先を決めないと、貴重な風力発電が半減する危機です」
――そこで新しい事業を始めたのですか。
「国は22年に『アグリゲーター』制度を始めました。各地に分散している風力や太陽光で発電された電気を束ね、供給する役割を担います。23年に独立し、認定を受けてアグリゲーター事業を始めました。秋田県の北都銀行から8500万円の融資を受け、『まぐるんちゃん』は無事修理を終え、5月に再稼働しました。10年間動かし、一般家庭約560世帯分の電気を地域新電力を介し供給する計画です」
――青森県は陸上風力への課税を検討中です。
「FIT期間が終わり大幅に収益が低下する中で課税されると、事業が成り立たなくなる恐れがあり困惑しています。むしろそのような再エネ電源を使い、地域のために貢献する方法があります」
――どんな方法ですか?
「再エネがある地域の電気代を下げることです。再エネが増えても、これまで地域住民に利点がほとんどありませんでした。FIT制度により買い取られた再エネ電気は地元を素通りし、市場に卸され、利益が還元されない。反発されて当然です」
――どうやって電気代を下げるのですか。
「再エネは発電コストが下が…