地元のシンボルである鳥海山と風力発電所=秋田県由利本荘市、堀篭俊材撮影

現場へ! 逆風 風力発電(1)

 地域にただひとつ、残っていたスーパーの跡地が生まれ変わった。「出羽富士」と呼ばれる鳥海山のふもと、秋田県由利本荘市鳥海町に昨秋、ローソンが開店した。

 地元名物の馬刺し、サーモンやタイの刺し身も並ぶ。「コンビニのある暮らしは初めて。総菜もあって便利です」。週2回訪れるという主婦(66)は話す。小売業の撤退が相次ぐ山間部では、買い物に困る人が増えている。店長の小沼(おぬま)文子さん(46)は「地域密着で、お客様の生活を守っていきたい」と語る。

 出店の背景には、由利本荘沖に建設されるはずだった洋上風力発電事業の存在がある。「地域共生」の試みとして、三菱商事中心の事業会社から紹介を受けたローソンが出店を決めた。

三菱商事撤退、どうなる「地域共生」

 沿岸から2キロ以上離れた沖合に、高さ最大約250㍍の風車65基を建設。発電出力計84.5万キロワットは原発1基にも相当する――。

鳥海山のふもとに昨年11月オープンしたローソン=秋田県由利本荘市、堀篭俊材撮影

 巨大プロジェクトをテコにした「エネルギーのまち」の青写真は破れ散った。

 「地元の期待を裏切る結果に…

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