新型コロナウイルス禍で政府による文化イベント自粛要請を受け、大きな打撃を被った舞台芸術界。国内初の感染者確認から5年が過ぎ、今はほぼ元の状態に戻ったが、その間どのように対応したのか。横浜市青葉区に本社を置く劇団四季の吉田智誉樹社長が、振り返った。
「創業以来最大の危機でした」。全国で年間約3100公演を行う四季は、2020年2月末から同7月中旬までのおよそ5カ月間でその3分の1にあたる1103回が中止となり、約99万人の客と85億円の売り上げを失った。22年までの3年間の中止は、計約2千公演にのぼった。
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先行きが見通せない中で吉田社長はまず、「この状態が継続した場合、いつ劇団が倒れるかをシミュレーションした」という。自社の建物を担保に可能な借入額を銀行に確認し、内部留保を計算。しばらくは持ちこたえられると判断し、劇団員に向けて動画でメッセージを発信した。
「この辺まではいけるが、ここから先は危なくなる、と全体をつまびらかにした。時間はまだ十分あることも伝えた」。その上で、約1400人の全団員に報酬カットを要請し、理解を求めた。
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