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タカラトミーの栗原祥太・人財戦略室長(右)とベビー事業部企画開発課の荒木克美さん=東京都葛飾区のタカラトミー本社

 大企業では、60歳で定年を迎え再雇用に移ると、賃金が一律で大きく下がる「60歳の崖」が一般的だとされてきました。しかし、再雇用者も定年前と同じ基準で賃金を決めようとする企業が出てきています。なぜなのでしょうか。

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 玩具大手、タカラトミーのベビー事業部企画開発課に勤める荒木克美さん(60)は昨年10月に定年を迎え、その後は再雇用で働いている。

 最初は、月給の手取りがそれまでの約6割まで減った。それが、今年7月からは現役時代と同じ水準にもどった。「『やったー』というのが正直な気持ちです」

 学生時代から子供相手の仕事をしたいと考えていた。1997年にトミー(現タカラトミー)入社以来、主に1歳未満のベビー向けおもちゃの企画開発を担当してきた。

 思い出に残るのは「たためるジャングルジム」。家庭用ジャングルジムはスペースをとるため購入をためらう家庭も多かった。そこでコンパクトにたためるジムを考案。社内でも好評だった。

 再雇用になって、担当する商品数は減り、残業時間も短くはなった。それでも仕事内容が大きく変わったわけではない。

 新商品のアイデア会議は3カ月に1回開かれ、6人のチームで考える。荒木さんが最年長だが、年齢を気にせずに活発に意見交換するという。

 「やる気は変わらない。ただ、使えるお金が減ったので生活は見直した」。たばこをやめ、燃費が良い車に買い替えた。

会社が再雇用の処遇を変えた理由は

 同じ再雇用でも荒木さんの月…

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