社員の高齢化が進み、人手不足に苦しむ日本企業にとって、中高年人材を「戦力」としていかに活用するかが死活問題になっている。模索する企業の現場を取材した。
- 早期・希望退職「しない」99% 増える中高年 リストラより活用
流通大手のニトリホールディングス(東京)に勤務する男性(61)は、昨年6月に定年を迎えた。再雇用となった今も定年前と同じ肩書で、部下17人を率いている。組織開発室でキャリアカウンセリンググループのマネジャーを務める。
男性は32歳でアパレルメーカーからニトリに転職。副店長や店長を経て、本部で教育研修や中途採用の責任者など、人事まわりの仕事を担当してきた。
定年の1年前、会社からこのまま仕事を続けるか、続ける場合の希望勤務地や職位などを尋ねるアンケートがあり、男性は「65歳までは今の仕事を続けたい」と回答した。後進を育てるやりがいのある仕事だったからだ。
男性と同じ年に定年となった15人のうち10人が会社に残った。「親の介護があるので、ポストオフし故郷にある支店へ異動した人や、退職して投資家として起業した人もいました」
毎朝8時半に出社し、現場をまわったり、本部で店長たちのカウンセリングを行ったりして、キャリアに関する相談に耳を傾ける。今後のキャリアから子育て、介護中の転勤、配転など、それぞれの悩みに経験を生かして応じる。
トップの発案で定年後の給与水準を9割まで引き上げたニトリ。メイテックなど再雇用の上限年齢を撤廃する企業も相次いでいます。さらに中高年の転職市場はここ6年で5倍以上に。どんな人物が求められるのでしょうか。
ニトリは昨年から、定年後の…