完投した日工大駒場の関田拓真投手=2025年7月8日午前9時2分、神宮、武田遼撮影

(8日、第107回全国高校野球選手権東東京大会2回戦、芝浦工大付5―1日工大駒場)

 七回表1死一塁。日工大駒場のエース、関田拓真(3年)のいるマウンドに、捕手の荒川航輝(同)が内野陣を集めた。2点を追うゲーム。終盤に逆転の望みを託すため、ここは最少失点で切り抜ける必要があった。

 「落ち着いて、1個ずつ(アウト)とっていこう。思いっきり投げて」。荒川の呼びかけで気持ちを落ち着かせた。直後に連打を浴びたが最後は右飛に封じて1失点に抑えた。

 昨秋の都大会1次予選の初戦では先発したが、10点差をつけられ5回コールドに。9回を投げきる体力をつけるため、「限界の8割」という80キロのバーを背負ってスクワットをするなど筋トレに励み、下半身の軸を鍛えた。冬を越すと、制球力が増し、球が伸びるようになった。

 この日、ストライクカウントをとるため多用したスライダーも、昨秋からネット動画を見たり、監督に教えを請うたりして会得したものだ。

 本田光監督は一番成長した選手に、関田を挙げる。「昨秋まではどの投手が一番か決まらなかったが、制球力で試合を作ることに秀でた」

 打撃では中軸として、一回裏1死二塁のチャンスで中前安打を放ち、初得点に貢献。4打数2安打と存在感を示した。

 最後まで大きく崩れず、完投できるようになった自分はこの夏、やりきったなと感じる。途中、ボールカウントが先行してしまったと試合後、反省も口にした。本田監督は「チームの精神的支柱で、彼以外にマウンドを託す選手はいない。丁寧で制球も良く、積極的なピッチングをしてくれた」とねぎらった。

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