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科学技術政策担当大臣賞を受賞した大久保亜美さん

 高校生・高専生が自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC(ジェイセック)2024(第22回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」の最終審査会が24年12月上旬、日本科学未来館(東京)で開かれた。全国173校705人から過去最多となる404研究の応募があり、高く評価された35研究について最終審査会で成果が発表された。上位入賞した12研究は、25年5月に米国・オハイオ州コロンバスで開かれる世界大会「リジェネロン国際学生科学技術フェア(ISEF=アイセフ)」に日本代表として派遣される。

【科学技術政策担当大臣賞】山脇学園高校3年 大久保亜美さん

 学校に何匹ものイモリがやってきたのは高校1年生の春。大学の研究室の閉鎖に伴い、先生が連れてきた。それまで教科書でしか見たことのない存在だったが、とろんとした瞳に魅了された。放課後や土日、毎日のようにイモリの世話に通った。

 イモリの生態にも視野を広げた。本州などに生息するアカハライモリは冬眠を挟んで秋から初夏に繁殖をするという論文を読み、繁殖期に興味を持った。

 アカハラは春に産卵シーズンを迎える。秋に精子を受け取ったメスは、すぐに産卵せず、精子を体内にとどめたまま冬眠する。「一体何のために? アカハラ特有の生存戦略なのではないか」と研究を始めた。

 注目したのは、鹿児島県の奄美大島や沖縄県に生息するシリケンイモリ。生物学上、中国などに分布するイモリの仲間とアカハラの中間的な位置に属し、何かヒントが得られるのではないかと考えたからだ。

 学校にあった標本を観察し、シリケンの生殖器の発達の程度などを地道に調べた。すると、シリケンは12月ごろから配偶行動を始め、冬眠せずに春先にかけて産卵をすることがわかった。シリケンとアカハラの繁殖する季節に共通点は見つからなかった。

ヒントをくれた実験室のアカハライモリ

 頭を悩ませていた大久保さん…

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