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 岸田文雄首相、中国の李強(リーチアン)首相、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が26日、日中韓首脳会談を控えてソウルに集い、個別に会談した。互いに友好関係を演出したが、日韓が接近する中、中国を巻き込んだ東アジア外交をどう展開するかが岸田政権の課題になっている。(ソウル=高橋杏璃、井上亮、太田成美)

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首相就任4日後、「期待」を伝えた習氏

 「正式な会談ができることを大変うれしく思う。大局的な観点のもと、意見交換を深めたい。日中関係の安定は、地域や国際社会にも有益だ」

 日中首脳会談は、岸田氏の発言から始まった。李氏も「国際政治は複雑な変化が起き、中日関係にも影響をもたらしている。しかし、平和共存、友好協力こそが、中日関係の主旋律だ」と応じた。会談は同時通訳で約1時間に及んだという。

 だが、近年の日中関係は、両氏の言動とは裏腹に厳しさが漂う。

日中韓の関係は

 前回の両氏の対話は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議のために訪れたインドネシアで、15分間言葉を交わす「立ち話」にとどまっていた。今回の日中韓首脳会談に合わせた個別会談も、日中だけは当日朝まで公表されなかった。中国側が最後まで返答を渋ったとみられる。

 2021年10月に岸田政権が発足した時は違った。中国側には日本との関係強化への期待があった。コロナ禍の停滞こそあったが、岸田政権は17年以降に日中関係改善に動いた安倍晋三政権の流れをくむと見たからだ。

 岸田氏の首相就任からわずか4日後、電話協議に応じた習近平(シーチンピン)国家主席は「宏池会出身の首相として期待している」と発言。日中国交正常化に尽力した大平正芳元首相の系譜であることも、わざわざ強調した。

 岸田・習両氏は翌年11月にバンコクで初会談。8月にペロシ米下院議長(当時)の訪台を引き金に中国軍が台湾周辺で大規模演習を実施し、日本は「深刻な懸念」を表明したが、それでもなお建設的で安定的な関係の構築を確認していた。

 だが、3年近く経った岸田政…

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