バスタオルを肩にかけて、頭に水中メガネをのっけて、ゴムサンダルをキュッキュと鳴らしながら木立の中の斜面を下りていくと、ざぁーっという川の流れる音が近づいてくる。岩の上にバスタオルを投げ、サンダルを放り出し、水中メガネの内側にツバをペッと吐いて、むしり取った木の葉で面をこする。こうすると曇り止めになると年上の子たちが言っていたのでその通りにやって、すぐさま川の中に入る。
胸まで入ったところで冷たくて心臓が止まりそうになるけれど、水中メガネを装着し、両腕にグッと力を入れて「えいやっ」と川の中に頭を沈める。水中メガネの向こうにウグイとオイカワの群れ、岩のあたりには身をひるがえしてキラッと光るアユが何匹か見える。
魚を追いかけまわして川を出ると、みんな唇が青ざめていて、肌もボツボツしていて、ブルブルと震えている。バスタオルに体を包んで、重くなった体で急斜面を上る。何人かがサンダルばきの足元を滑らせてすっ転ぶけど、それはいつものこと。上の道に出るころには唇の色も元に戻り、ボツボツも消え、体もあったかくなって、それぞれの家に向かってパタパタと駆け出していく。
家に帰ると、半割りにされた…