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大規模な基盤整備で、区画が整えられたブロッコリー畑。のり面は石積み。コンクリートで固めるより水はけがよいという=長崎県雲仙市

 ブロッコリーは、この40年で急速に日本の食卓へ普及しました。2026年度には、国民の生活に欠かせない野菜「指定野菜」に加わります。25年あまりで出荷量を10倍以上に伸ばした長崎県の大産地を訪ねました。

温度に敏感、つぼみの緑色が商品価値の生命線

 「年中あるブロッコリーだけれど、旬は、甘みが増す冬の今」。長崎・島原半島。海に向かってゆるやかに広がる畑を見ながら、JA島原雲仙・雲仙ブロッコリー部会長の池田功さん(51)が話す。

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ブロッコリー畑を背に立つ、JA島原雲仙・雲仙ブロッコリー部会長の池田功さん(左)と西部基幹営農センターの田中慶輔さん=長崎県雲仙市

 部会は10月から翌年の6月上旬まで、8カ月にわたって約2200トンのブロッコリーを出荷。販売先は関西などのほか、関東、さらには東京経由で北海道にも送られている。なお、長崎県全体の出荷量は1万200トンで全国7位だ。

 ブロッコリーは温度に敏感で鮮度が落ちやすい。緑色をしたつぼみの部分が黄ばんでしまえば、商品価値が失われる。大消費地から遠い雲仙で、鮮度を保つ方策は?

 同JA西部基幹営農センター営農指導課の田中慶輔係長(40)は「年間を通して予冷と氷詰めをしています」と言う。

 畑から集荷場に集めたブロッコリーをいったん大きな冷蔵施設に運び、3度で冷やす。その後発泡スチロールの箱に砕いた氷と共に入れて発送、冷蔵車で消費地へ。「収穫したままではブロッコリーの温度が高くて氷が溶けやすい。予冷で温度を下げます」

 製氷機を導入して氷詰めを始めたのは2011年。以前は、暖かい時期には変色のクレームがつきやすかったが、ほぼなくなった。販売先も大阪以遠の地域まで伸ばすことができたという。

 現在は消費地に近い他の産地でも、氷詰めは必須となっているそう。「気温が高くなって品質が保てない。店頭でも氷詰めで売る方が鮮度保持できると思います」

 気候の影響は年々大きくなっ…

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