東芝の野菜室が真ん中タイプの冷蔵庫。野菜や重いものを腰をかがめずに出し入れすることができる=東芝ライフスタイル提供

 冷蔵庫の野菜室の位置は真ん中か、下か。メーカーの戦略が分かれている。現在は「下派」が優勢だが、「真ん中派」が多数を占めた時期もあった。両派の勢力図は、30年近く変わり続けている。

 野菜室が下、冷凍室が真ん中にあるタイプを主力製品として売り出しているのは、パナソニックや三菱電機、日立製作所だ。

 一方、1997年から一貫して野菜室を真ん中に配置するのが東芝。基本的にすべての製品で野菜室が真ん中にある。「重い野菜やボトルの出し入れによる腰の負担を軽くした」(広報担当者)という。

 両派に共通するのは、よく使うものを取り出しやすい真ん中に配置する、という考え方だ。

 ただ、野菜室が真ん中の冷蔵庫を国内で初めて発売したのは、東芝ではなく日立だった。96年発売の「野菜中心蔵(ちゅうしんぐら)」シリーズが元祖といえる。

三菱電機の冷蔵庫工場。流れ作業で品質を確認していた=静岡市、奈良部健撮影

 日立による当時の調査では、野菜室の方が冷凍室よりも開ける回数が多いことがわかり、野菜室を取り出しやすい真ん中にした。これを東芝(97年)や三菱電機(98年)、パナソニック(2000年)が追った。

 ところがその後、「野菜室真…

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