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能登半島地震の被災地を視察後、記者団の取材に応じる自民党の茂木敏充幹事長(中央)=2024年4月10日午後4時54分、富山県高岡市、藤原慎一撮影

 自民党の茂木敏充幹事長は10日、派閥の政治資金パーティーを通じて裏金を作っていた議員ら85人のうち、党の処分を見送った45人を個別に厳重注意したと明らかにした。能登半島地震の被災地視察で訪れた富山県高岡市で記者団に語った。

 裏金事件をめぐり、同党は2018年からの5年間の政治資金収支報告書の不記載総額が500万円以上の議員らと一部の安倍派幹部らを処分した。一方、500万円未満の議員については幹事長による厳重注意にとどめる方針を示していた。

 処分に続き、厳重注意を急いだ背景には、裏金事件に対して党としてけじめをつけたことをアピールし、世論の批判を収束させたい思惑がある。

 岸田文雄首相ら党執行部は事件の再発防止を名目とした政治資金規正法改正に向けた準備を進めており、実態解明を置き去りにしたまま、幕引きを急ぐ姿勢に、党内からも「首相は『やっている感』を出したいのだろう」(党三役経験者)と冷ややかな声が上がる。

 共産党の山添拓政策委員長は朝日新聞の取材に「実態が解明されていないのに罪に合った処分はできない。自民党が解明できないなら、関係者には国会に出てきてもらわないといけない」と話し、引き続き真相究明を迫る構えを強調した。(藤原慎一、小林圭)

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