アワビの稚貝=2021年5月、岩手県大船渡市

 東京電力福島第一原発の処理水放出で打撃を受けていた、岩手県産アワビなどの中国への輸出が再開される見通しとなった。岩手県はアワビの漁獲量が全国一で、中国向けの輸出も多く、放出に伴う禁輸措置の影響を大きく受けていた。生産者から歓迎する声が聞かれる一方、海水温上昇による不漁も深刻になりつつあり、課題は抱えたままだ。

 「待ち望んでいた。生より高く売れる干しアワビを中国が買ってくれていたが、売り先がなくなり困っていた。早く具体的なことを決めて、再開してほしい」。日中両政府による輸入再開合意を受け、岩手県漁連の山崎義広会長は歓迎した。達増拓也県知事も30日の会見で「待ちに待った輸入制限解除が行われる。よかった」と述べた。

 岩手県によると、県内のアワビ漁獲量は2022年に133トンで、47都道府県で最も多かった。23年8月に東電が処理水放出を始めると、中国は日本産水産物を禁輸。価格が下落し、岩手県産アワビは打撃を被った。

 県水産振興課によると、処理…

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