日本の少子化が止まらない。2023年に生まれた日本人の子どもの数も、合計特殊出生率もまた過去最低を記録した。少子化の加速に大きな影響を与えていると指摘されているのが、結婚する人たちの減少だ。
婚姻数は1970年ごろは年間100万組を超えていたが、2011年以降は年間60万組台でしばらく推移。コロナ禍に見舞われた20年は前年比12.2%減と大きく減り、23年は同5.9%減の47万4717組と、日本人の婚姻数は戦後初めて50万組を割り込んだ。
一方、結婚した夫婦が持つ子どもの数を示す「完結出生児数」は、1970年代から2.2前後で推移し、21年も最低値を更新したものの1.9と大きくは変わっていない。日本は婚外子が少なく、専門家は少子化の主な要因の一つを「未婚化」と指摘する。国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、20年の「50歳時の未婚率」は男性が約28%、女性が約18%に上昇。結婚しない人は増加傾向だ。
人口減少に歯止めがかからない地方では、自治体の結婚支援にも熱が入る。08年に結婚支援センターを設け、いち早く対策に乗り出した愛媛県。お見合い事業と婚活イベントを軸に、24年1月末までに支援した計1500組のカップルから結婚の報告があったという。
こうした「官製婚活」には「個人の問題に行政は介入すべきでない」という批判もあるが、国の後押しもあって全国に広がる。愛媛県の担当者は「未婚者へのアンケートで8割弱が『いずれ結婚するつもり』と答える一方、周りに同世代の未婚異性がいないという人が約3割いた。本人に希望があるのであれば、伴走型の支援を届けたい」。
ただ、子どもを持つことに対する意識には変化が見られ、少子化対策は一筋縄ではいかない。21年実施の出生動向基本調査でも、「結婚したら子どもを持つべき」と答えた未婚者の割合は6年前の調査から急減し、未婚者が将来ほしいと考える子どもの数も減り続けている。
中央大学の山田昌弘教授(家族社会学)は少子化の加速について、「数年前から団塊ジュニア世代が出産年齢から外れ始めたため」と言う。若者の間で格差が広がるなか、「結婚や出産後に『人並みの生活ができない』と考えて決断を先延ばしする人たちがいる。高等教育の無償化やフリーランス・自営業の方への育児支援など相当思い切った対策をしない限り、日本の少子化は食い止められない」と話している。(平井恵美)
公的年金への影響は?
現役世代が高齢世代を支える仕組みの公的年金制度。歯止めのかからない出生数減少の影響が懸念されるが、関係者はどう見ているのか。
厚生労働省は、影響について…