源氏物語の作者、紫式部が都を離れ過ごした福井県越前市(旧武生(たけふ)市)。3月に開業した北陸新幹線「越前たけふ」駅から車で10分、のどかな里に円筒形と三角屋根の建物群が現れた。14の刃物会社が集まる共同工房「タケフナイフビレッジ」だ。

無限に広がる鏡の世界に浮遊する「越前打刃物」=2024年12月16日、福井県越前市余川町、樫山晃生撮影

【撮影ワンポイント】タケフナイフビレッジ

 アート作品「REFLECTION(リフレクション)」は天井と地面が鏡となっている。ド定番は鏡の壁の端に立ち、反対側から撮影してもらう角度。広角レンズを使って左右上下に広がる鏡の世界を表現できる。ナイフにカメラを近づけることで画面にメリハリが付くが、くれぐれも作品の中に足を踏み入れないようご注意を。(樫山晃生)

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 「タンタンタンタン……」

 工房からリズミカルな音が響く。赤く熱した鉄をたたき締める鍛造(たんぞう)と呼ばれる工程。こうすることで丈夫で切れ味抜群の刃物ができあがるという。

タケフナイフビレッジ内の工房=2024年12月16日、福井県越前市余川町、樫山晃生撮影

 1993年完成の円筒形の本館工房では、職人が手作りする工程を間近に見学ができる。2020年に完成した三角屋根の新館では、「一生もの」として購入も可能な完成品が並ぶ。「国内外の一流シェフをはじめ、本物志向の海外のお客様にも人気です」と笠島道代事務局長(53)。

世界的デザイナー起用、10人の職人の負けられぬ戦い

 この新館のもう一つの目玉が、天地と壁面の鏡の中に、幾本もの包丁が浮かぶアート作品「REFLECTION(リフレクション)」だ。

 福井県出身の世界的デザイナ…

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