【福岡】明治期の「初代門司駅」関連遺構(北九州市門司区)の追加発掘調査で、駅舎本体を囲む大規模な石垣が今月、新たに出土した。専門家はさらなる調査を求めているが、市は今月中旬の調査終了後、複合公共施設建設のために取り壊す方針を崩していない。
市によると、石垣は昨秋の調査で角の部分が出土し、その延長線上で17.5メートル×3.2メートルのL字形で、良好な状態で見つかった。その内側には土盛りや砂利を固めた部分、初代駅舎のものとみられる瓦も出土した。ただ、駅舎本体の跡は、複合施設の建設予定地外にあるとみられる。
日本イコモス国内委員会副委員長の溝口孝司九州大教授は13日、市内で会見を開き、今回見つかった石垣は「世界遺産への登録申請がなされた暁には、確実に構成資産になる」と語った。
会見には、門司区民らでつくる市民団体も出席し、遺構の世界遺産登録を目指す組織を発足すると発表。遺構取り壊しに向け、市が行った指名競争入札について、「埋蔵文化財の価値付けを行わず、遺構の取り壊しを決定し、入札を実施して契約を業者と結んだことは不当」などとして、同日付で住民監査請求をしたことなども明らかにした。会見では、複合施設建設地の代替案も提案された。(興津洋樹、城真弓)