日本銀行の中村豊明審議委員は5日、広島市で講演し、今後の金融政策について「経済の回復状況に応じて、慎重に調節していくことが重要な局面だ」と述べ、利上げに慎重な姿勢を示した。講演後の会見では、12月の金融政策決定会合での利上げの是非を問われ、「(決定会合までに公表される統計の)データをよく見て判断したい」と述べるにとどめた。
中村氏は日立製作所出身で、利上げに慎重な「ハト派」とされる。経済と物価の動向について「物価上昇に負けない賃上げと投資の芽が出てきている」と語った。
一方で、物価高の影響で個人消費の回復が遅いことなどに触れ、「賃上げの持続性にまだ自信を持てていない」とし、早期の利上げには慎重さをにじませた。日銀が目標とする物価上昇率2%についても「2025年度以降は2%に届かない可能性がある」とした。
利上げの条件については、大…