Smiley face
写真・図版
会見する日銀の植田和男総裁=2025年5月1日午後3時31分、東京・日本橋の日銀本店、西岡臣撮影

 日本銀行が経済・物価見通しの下方修正を強いられた。理由は、トランプ関税を受けた景気減速リスクと極めて高い不確実性だ。追加利上げを目指す姿勢は維持したものの、判断のカギとなる賃上げの継続にも不透明感が漂い始めた。

 植田和男総裁は1日の会見で、トランプ米大統領が4月2日に公表した「相互関税」について、危機感をあらわにした。「懸念していた米国の関税政策が、かなり悪い方向に振れた」

 関税の公表後、世界経済の減速懸念が強まり、金融市場は大きく動揺。その後、トランプ氏は姿勢を軟化させ、主要国・地域に対する相互関税の上乗せ税率を90日間停止するとした。それでも一律10%を課す部分は残るほか、自動車や鉄鋼・アルミニウムへの追加関税25%も課されている。

 「これまでにない規模の関税の発動」(植田氏)は、日銀の想定を揺さぶった。日本の製造業を支える自動車や鉄鋼の業績を押し下げ、先行きの不透明感の強まりは企業の投資意欲や、家計の消費を抑える方向に働く。日銀は、今年度の実質GDP(国内総生産)の成長率を0.5%と見込み、前回1月から半減させた。物価上昇率の見込みも引き下げた。

  • 【そもそも解説】これほど物価高なのに…日銀の物価目標なぜ未達成?

 日銀が目指す、賃金と物価が…

共有