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中東調査会の青木健太研究主幹
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 イランの大統領選は28日に投票日を迎えます。ヘリの墜落で死亡したライシ大統領の後任を選ぶ選挙戦の注目点と、日本を含む国際社会への影響について、イラン情勢に詳しい中東調査会の青木健太研究主幹に聞きました。

 ――大統領選を前に、イランの動向が国際的に注目されています。

 イランは長い歴史を有する地域大国で、中東で大きな存在感を誇っています。その動向が注目されるのにはいくつかの理由があると思います。

 一つは核問題です。イランは平和利用のための核開発だと主張していますが、周辺国も核を保有しようとするという、ドミノ現象が起こりかねません。

 二つ目は中東のホルムズ海峡の安定にイランが大きな影響力を持つことです。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)といった産油国が日本などに輸出する原油は、イラン沖にあるこの海峡を通ります。

 三つ目はイランが「抵抗の枢軸」と呼ばれる各地の勢力を支援していることです。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスや、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、イエメンの反政府武装組織フーシなどです。昨年10月にガザでイスラエルとハマスの戦闘が始まって以後、こうした勢力はイスラエルへの攻勢を強めており、イランの存在感は増しています。

大統領はナンバーワンではないけれど

 ――イランでは大統領はどんな存在ですか。

 イランでは大統領はナンバーワンの権力者ではありません。「最高指導者」と呼ばれるイスラム法学者が行政、立法、司法の三権の上にいて、国政全般の決定権を持ちます。

 ただ、大統領は内政・外交の…

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