(25日、第97回選抜高校野球大会2回戦 埼玉・浦和実8―2北海道・東海大札幌)
全国レベルの強豪私学がひしめく埼玉県内で、浦和実は何度もその壁にはね返されてきた。
だが、創部50年目の今年。開催中の選抜大会で春夏通じて初の甲子園の土を踏み、ベスト8進出を決めた。
「俺は運がない」
私学だが専用グラウンドなどの施設に恵まれているわけではなく、ベンチ入りメンバーの出身地も埼玉県内が中心だ。躍進の背景には、何があったのか。
22日にあった選抜大会1回戦。浦和実は変則左腕・石戸颯汰(3年)の好投などで、滋賀学園を3―0で破った。辻川正彦監督(59)は試合終了後のインタビューで、笑顔を見せながらこう振り返った。
「校歌の出だしで思わず泣きそうになって、必死にこらえた」
何度も諦めかけた夢の舞台・甲子園で挙げた1勝だった。
大学卒業後の1988年、浦和実に赴任して野球部の監督に就任。当時22歳だった。当時の練習場は河川敷。いまも、さいたま市内にある校舎には専用グラウンドはない。
選手たちは練習のたびに、自…