「島のおっちゃん」の公演に向けて稽古に励む出演者=大阪府東大阪市、中野晃撮影

 瀬戸内海の島のハンセン病療養所を舞台に、入所者と訪問者の交流などを描いた劇作「島のおっちゃん」の公演が今月12~14日に大阪である。「おっちゃん」のモデルは、国の隔離政策による入所から約70年間を島で暮らし、10年前に亡くなった在日朝鮮人だ。

 大阪を拠点に日韓で公演を続ける劇団「タルオルム」の新作で、代表の在日コリアン3世、金民樹(キムミンス)さん(49)の実体験が下地になっている。金さんは母親の作家、金蒼生(キムチャンセン)さんに連れられ、赤ん坊の頃から毎年のように長島愛生園(岡山県瀬戸内市)を訪れた。10歳ぐらいからは夏休みなどに1人で向かった。長島と対岸を結ぶ邑久長島大橋の開通(1988年)前で、大阪から電車を乗り継ぎ、船に乗り、1日がかりの旅だった。

 目的は「島のおっちゃん」に会うこと。「アキやん」と呼ばれていた朝鮮人の入所者で、島外から訪ねて来る若者のグループを部屋に招き入れ、手作りのキムチや焼き肉でもてなしていた。

 金さんはおっちゃんから「ミン」と呼ばれ、バイクで島内を回ったりと孫娘のようにかわいがられた。おっちゃんの友人で日本人の「いずやん」とも仲良くなり、お小遣いをもらった。

 寂しがりのおっちゃんとはよ…

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