今月7日に私たちの共著『「キノコ雲」の上と下の物語~孫たちの葛藤と軌跡』が出版されました。戦争、原爆に翻弄(ほんろう)された家族の物語を書く機会を得て、私たちがなぜ共に活動しているかも書きました。
朝日新聞ポッドキャストにも出演しました。そこでは、この往復書簡の読者からの質問もありました。
- 【コスズさん、アリさんが出演したポッドキャスト】語り合う過去と未来と葛藤と
「コスズさんの葛藤とは、何ですか?」
「2人が求める日米の和解について、結局はどうなったのですか?」
「アリさんが、謝罪しないのはなぜですか?」
「謝罪」についてアリは、「揺れ動く」と手紙に書いていますね。ジェイコブさんが原爆投下に関わったことから、日本ではアリに「謝罪」が求められるのを私は知っています。
正直に言えば、アリが初めて長崎に会いに来てくれた時、すぐには心を開くことが出来ませんでした。アリが言う運命的な二日間に起きた「人間の物語」も含め、被爆者家族の私たちは、「原爆」を決断した経緯自体も許せないのです。
でも、憎しみからは何も生まれないことを、私は祖父から学びました。「皮膚の色や言葉が違っても、我々は人間同士ですから、よく話し合えばわかる」。祖父は生前、米国のコロンビア大学でそう語っています。
アリが原爆を投下した人の孫として生まれたのも、私が二重被爆者の孫として生まれたのも、望んだことではありません。
「運命的な出会い」
「活動を共に行う宿命的な2人」
「日米の和解」
第三者からみれば美談に映るのでしょう。しかし、私たちが活動を共にしている理由は違います。
祖父たちの時代に米国と日本…