上半期(1~6月)に日本で公開された映画をめぐり、ヒットの目安とされる興行収入10億円を超えた邦画が15本ある一方、洋画は3本のみだったことがわかった。洋画離れの傾向は近年強くなっていると語る識者もいる。なぜなのか。
洋画離れの傾向が顕著だった今年の上半期。何が理由か、2人の映画ジャーナリストに尋ねました。2人が共通して挙げたのは、ある世界的な大手映画会社の存在でした。
9月までに上半期の概況をまとめた日本映画製作者連盟や配給会社などによると、邦画では「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」と「劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦」が興収100億円を超えるなど、次々にメガヒット作が生まれた。
一方で、洋画に大ヒット作はなく、1位は「原爆の父」を描く「オッペンハイマー」(18億円)。「ゴジラ×コング 新たなる帝国」「マッドマックス:フュリオサ」と続く。
下半期に入ってからは、「怪盗グルーのミニオン超変身」(7月19日公開)やディズニー最新作「インサイド・ヘッド2」(8月1日公開)が「オッペンハイマー」を超える成績を残している。ただ、ディズニーによると「インサイド・ヘッド2」は世界全体でアニメ映画史上最高の興収を記録しているが、日本では9月22日時点で50億円にとどまる。「アナと雪の女王」(2014年、255億円)や「美女と野獣」(17年、124億円)に比べれば、寂しい数字だ。
市場構造を変えた「鬼滅の刃」
洋画の興行面での不振は、とりわけ近年、顕著だ。20年以降、年間興収トップ10で洋画が5本以上並んだ年はない。著書に「アメリカ映画に明日はあるか」(ハモニカブックス)がある映画ジャーナリストの大高宏雄さんは、洋画離れが加速した転機は19年ごろだったとみている。
19年と言えば、ディズニー…