小中一貫教育を進めている、茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校の生徒たちが合唱団を立ち上げ、能登半島地震の被災地である石川県の子どもたちと歌でつながる取り組みに臨んでいる。合唱団は部活動ではなく、有志による自主的な活動。昼休みを活用して練習を続けている。
みどりの学園は2018年4月に開校した新しい学校。校内行事を充実させようと、23年から秋に合唱祭を始めた。
2回目となった昨年秋。9月に練習を始め、11月に合唱祭を終えた後、生徒たちから「もっと歌いたい」との声が上がり、合唱祭後も活動を継続することに。
そうしたなか、能登半島地震の被災者を励ます合唱曲があることを知った。12月には、その曲を手がけた音楽家の弓削田健介さんを学校に招いて、歌を作ったいきさつや込めた思いを聞いた。
「フェニックス」という、その曲を通じて、全国と被災地がつながろうという弓削田さんのプロジェクトへの参加も決めた。
8、9年生(中学2、3年生に相当)約35人が合唱団「Four Leaf」として週3回、昼休みに練習を続けている。
今年5月14日には弓削田さんを介して石川県立輪島高校の生徒や近隣の小学校の児童たちとオンラインで交流。歌はあらかじめ録音して送り、現地で再生する形で被災地の子どもたちとの合唱を実現させた。
フェニックス(不死鳥)にちなんで、赤い折り鶴も贈った。
オンラインのやり取りで、みどりの学園の黒田瑞響さん(8年生)は「フェニックスの『限りない空へ、もう一度未来を描こう』という歌詞を、復興を願う気持ちを込めて歌っています」。藤原佳汰さん(8年生)は「やりたいことができなくてつらい思いをしている人もたくさんいると思いますが、めげずにがんばってください」と励ました。
宮内ひかりさん(9年生)は「歌でつながることが輪島や石川県の皆さんの勇気につながれば」と話し、星野吏早子さん(8年生)は「被災地の皆さんが前を向いている姿に勇気をもらった。歌が心に届いてそっと寄り添えたらうれしい」と呼びかけた。
5月23日には弓削田さんが来校して合唱団の生徒と交流。それを見学していた7年生の有志も団に加わるようになった。合唱を指導する山本美佳先生は、この取り組みについて「合唱を通じて自分を見つめ、誰かとつながり、思いやりの心が育まれればうれしい」と話している。
山田聡校長も「部活動ではないので、出入りが自由。部活動であれば、コンクールをめざすなど合唱を極めることがメインになるが、合唱をしながら出会いがあったり、被災地支援を学べたりするところが良い」と言う。