絶滅の恐れがあるとして近年、日本への輸入が厳しくなったアフリカゾウ。動物園の人気者だが、国内の頭数は減る一方で、繁殖は難しく、東北では個体の交換によるペアリングがうまくいかなかった。動物を取り巻く複雑な事情が浮かぶ。
2日午後、仙台市八木山動物公園(太白区)。雨が降りしきる中、1頭のアフリカゾウが、鼻を器用に使い、むしゃむしゃとフルーツの盛り合わせを豪快に食べ始めた。葛のツタと竹でできたお皿までペロリと完食。
メスの花子、推定35歳。「おてんばで気分屋。食いしん坊でかわいい子です」と飼育員の松村亜裕子さん(39)は目を細める。
陸上生物で最も大きいアフリカゾウ。花子は1990年に南アフリカから秋田市大森山動物園に来て人気者となった。
繁殖に向けて3動物園がタッグ だけど…
だが、ゾウをめぐる社会環境は、大きく変化する。種の保護を目的とするワシントン条約が輸出規制の対象とし、アフリカゾウを国外から新たに持ち込むことが困難になったためだ。国内繁殖が喫緊の課題となった。
東北でもアフリカゾウを飼育する八木山動物公園、大森山動物園に加え、盛岡市動物公園の3園が2018年、繁殖に向け連携する覚書を締結。環境を変えて繁殖を促そうと、花子は八木山動物公園へ、代わりに八木山動物公園の推定35歳のメス、リリーが大森山動物園にそれぞれ移った。
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だが、人間が思うようにはい…