警察が摘発した動物虐待事件

 動物を虐待したとして昨年に警察が摘発した事件は、前年比9%増の181件で、統計を取り始めた2010年以降で最多となった。警察庁が11日に発表した。逮捕・書類送検した人数も最多の206人だった。

 近隣住民ら第三者からの通報が多く、警察庁は動物虐待への関心が高まっているとみている。

 動物愛護法違反容疑での昨年の摘発を警察庁がまとめた。件数、人数は共に10年前の5倍となった。

 動物の種別では、猫が最多の97件で、次いで犬が65件と多かった。猫の半数は生きたまま捨てる「遺棄」、犬の半数がえさを与えないなどの「虐待」だった。ほかにハムスター、にわとりが6件ずつで、亀やウサギなどもあった。

 事件発覚のきっかけでは、第三者からの通報がこの5年で最多の118件で、全体の65.2%だった。飼い主など容疑者側からの通報が11.6%、自治体からの通報が9.9%、愛護団体からの通報や告発が5.5%だった。

多頭飼育崩壊 牛の顔を蹴る動画を投稿

 埼玉県では昨年4月、住宅の敷地内の納屋で、排泄(はいせつ)物が堆積(たいせき)した状態で犬9匹を飼育したとして、同法違反の疑いで公務員の女が埼玉県警に逮捕された。自由繁殖により「多頭飼育崩壊」になったとみられる。保健所からの情報で県警が捜査し、女は罰金15万円の略式命令を受けた。

 昨年7月には、島根県の農場で飼育されている乳牛の顔を蹴るなどしたとして、元従業員の男が同法違反容疑で書類送検された。男は虐待の様子を撮影して動画をSNSに投稿。それを見た人から県警に情報提供があった。男は有罪判決を受けた。

 警察庁によると、近年はSNSで虐待の様子が拡散される事例もあり、提供された情報などをもとに捜査を進めているという。動物虐待の関連では同法違反容疑以外に、他人のペットを傷つけるなどして器物損壊容疑で摘発される事例もある。(板倉大地)

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