(8日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 智弁和歌山1―4花巻東)

 花巻東の勝因のひとつに、五回のバント処理があった。

 守る花巻東が1点リードし、智弁和歌山は無死一、二塁で打者山下晃平。投手前のバントを処理した萬谷堅心はちゅうちょなく三塁へ送球し、二塁走者を封じた。後続も断ち、無失点で切り抜けた。

 「自分で作ってしまったピンチだったので、とにかく絶対にサードで(アウトを)取ってやろう、と思っていました」と萬谷。無死一、二塁はタイブレークのスタートと同じ状況。2018年の導入から、どのチームも対策を練っている。花巻東も練習試合でタイブレークを重ねてきた。

 実戦でこそ、養われる技術がある。三塁手の高間木(たかまぎ)颯我は「相手がやってきそうなことはすべて頭に入れてきた。何が来ても大丈夫です」。この日もダッシュよく前進したり、打球が投前に転がるとすかさず三塁ベースカバーに入ったりと、機敏な動きで成果を見せた。タイブレーク制度の導入が、守備力向上につながっている。

 前日の試合で叡明は、十二回無死一、二塁からのバントを、投手が一塁へ悪送球し、サヨナラ負けを喫した。勝敗を染め分ける「無死一、二塁」の守備を、今後も見ることになりそうだ。

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