国立病院機構本部DMAT事務局の近藤久禎次長

 2024年1月に発生した能登半島地震では、入院患者や高齢者施設の入所者らが被災地の外へと運び出された。災害派遣医療チーム(DMAT)が調整した人数だけでも、1600人に上る。それによって多くの人の命が守られた一方、運ばれた先で亡くなった人や、帰りたくても帰れない人もいる。

 発災直後から石川県庁でDMATの活動を支えた国立病院機構本部DMAT事務局の近藤久禎次長に、広域避難・搬送の状況や今後の課題を聞いた。

 震災当初は、寒さや栄養不足による病気の悪化が心配されました。水や暖房などを補給していって改善を図りましたが、それでも現地では耐えられない人がいる。悲劇的な死を迎えてしまう可能性の高い人たちの命を救わなければならず、そのための広域避難・搬送を1月18日ごろまで続けました。

 現地に派遣されたDMAT隊員の情報や施設への調査を踏まえ、状況が改善されたということで、18日で線を引いたつもりでした。

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 ただ、広域避難・搬送は一度勢いがついてしまうと止めるのは難しい。その後も数日間は、運び出された人たちがいたので、私の方で止めるようにお願いしました。

 当時は世の中も避難の方に大…

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