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自宅応接室の北原白秋=日本近代文学館提供
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 詩と短歌、そして「この道」「からたちの花」などの童謡、校歌、ご当地ソングや紀行文など幅広く文才を発揮した北原白秋(1885~1942)。生誕140年の今年、その表現世界の豊かさを見直す企画展「白秋万華鏡」が東京・駒場の日本近代文学館で開かれている。代表詩集「邪宗門」の成立過程を知る上で貴重な新資料などから、大衆を魅了したエネルギッシュな文豪像が浮かび上がる。

 19歳のときに雑誌に掲載された詩が詩人・河井酔茗に評価され、21歳で与謝野鉄幹主宰の詩歌結社「新詩社」にも加わる。その翌年の1907年に鉄幹や詩人・劇作家の木下杢太郎らと九州を旅行。天草の教会でフランス人宣教師と出会い、島原城の跡を巡った体験などから生まれた作品は、第1詩集「邪宗門」(09年刊行)を特徴付けるエキゾチシズムや退廃美を漂わせる。

 このほど日本近代文学館に寄贈された酔茗の遺品から、白秋自筆の「邪宗門」構想メモが新たに見つかった。展示の編集委員を務めた中島国彦・同館理事長は「白秋が、才能を最初に見いだしてくれた酔茗に詩集の方向性を相談した結果、この資料が彼の手元に残ったのでは」とみる。

 「邪宗門」は完成までに何段…

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