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2023年のクラウドファンディングで集まった資金で実施した調査では、ネパールの高山地域で数十年ぶりにヒグマの生息が確認された=坪田敏男教授提供
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 世界のクマを研究している北海道大学大学院の研究室「野生動物学教室」が研究費用をクラウドファンディング(CF)で募っている。CFは2度目で、集まった資金は、国内のみならず世界のクマの生態解明に向けた調査や若手研究者との共同研究などに使う。人とのあつれきを防ぎ、クマの保全にもつなげたい考えだ。

 昨年度は全国でもクマによる人身被害が相次ぎ、北海道内では2人が亡くなった。同大学院の坪田敏男教授は「ヒグマの生態は科学的に解明されていないことも多い。生態を知ることで、被害を防ぐための対策にもつながる」と話す。

 一方、世界に8種いるうち、ホッキョクグマやナマケグマなど6種が絶滅の危機にあり、保全が課題になっているという。クマの研究者は世界的に少なく、若手研究者との共同研究も進めたい考えだ。

 昨年のCFでは、677人から894万3千円が集まった。カナダではホッキョクグマにGPSを装着して行動情報を収集。親子グマの観察や捕食されたアザラシの死体の捜索などを行ったという。調査結果をもとに、将来的に推定されるホッキョクグマの生息状況などを発表する予定だ。

 他にも、ネパールでは痕跡調査を実施。標高3834メートルでのヒグマの撮影に成功し、数十年ぶりに同地区での生息を確認できたという。

 CFは15日まで。第1目標の500万円は達成し、次の目標として1千万円を目指している。寄付はCFのサイト(https://readyfor.jp/projects/bearconservation2024別ウインドウで開きます)で受け付けている。(古畑航希)

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