北海道の最東端・根室市には、全国で唯一の部活がある。

 道立根室高校「北方領土根室研究会(北方研)」。2024年末時点で、1~2年生を中心に8人が所属する。

 1月中旬、FMねむろの収録室のマイクの前に、久保こころさんが座った。

 「北方研、未来への航路が始まりました。北方領土問題のこれからをみなさんと考えていくラジオ番組です」

 収録は約10分。現在2年生の久保さんは、小中学生向けに北方領土に関するクイズを作成した体験を語った。

 番組は11年に始まり、13年からは週1回放送に。部員が交代で出演し、放送回数はまもなく500回を迎える。

 もともと、根室高校には地理研究会があったが廃部し、03年に復活という形で誕生したのが北方研だ。ラジオ番組だけでなく、道外への出張授業を通して、北方領土問題の経緯や島での暮らしを伝えている。これまで、20を超える都府県で講演会を開いた。11年度以降は、年10回ほど、根室市に来た道外の中高生に対しても講座を実施している。

歯舞群島・水晶島を前にして、海上保安庁の巡視船とロシアの警備艇が向き合っていた=2024年9月3日午前10時14分、北海道根室市、古畑航希撮影

 根室市と北方領土は最も近いところで、3.7キロしか離れていない。目に入るところに島がある。貝殻島の灯台にはロシアの国旗や十字架とみられるものが設置され、ロシアの警備艇も姿を見せる。

元島民の祖父や島を訪問した経験のある父と兄の話を聞くなかで、久保さんの北方領土への思いは変わっていきました。ただ、北方領土の近い地域でも、誰しもが関心を抱いているわけではありませんでした。

 久保さんの祖先は北方領土の国後島で暮らしていた。久保さんは、父方で言えば3世、母方では4世にあたる。

 久保さんが幼稚園ぐらいの頃…

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