ロシアが実効支配する北方領土・歯舞群島の貝殻島周辺海域で3日、日本漁船によるコンブ漁が始まった。当初は1日からの漁を予定していたが、天候不良のため2日遅れの出漁となった。
本土最東端の納沙布岬(北海道根室市)の周辺には、早朝からコンブ漁の船団が待機。午前6時、白い旗を振るなどして陸から合図を送ると、船団は一斉に漁場へ向かった。
貝殻島は納沙布岬から約3.7キロ離れた沖合にあり、船の航行安全のために日本が1937年に建てた灯台がある。周辺の海域は、戦前からコンブの好漁場として知られていた。
地元の根室市によると、終戦後に旧ソ連が貝殻島の周辺海域を実効支配するようになって以降も、漁業者たちは生活のために貝殻島周辺でコンブ漁を行い、拿捕(だほ)される漁船が相次いだという。
貝殻島周辺での安全操業を求める声が年々高まり、民間協定に基づいて旧ソ連に採取料を支払う形のコンブ漁が1963年に始まった。
今年は4月末に、操業条件をめぐるロシア側との民間交渉が妥結した。
コンブの採取量は昨年より300トン少ない2700トン。チガイソやスジメを含む褐藻類の採取量としては、昨年を336トン下回る3024トン。ロシア側に採取権料として7233万3千円を支払うことなどが決まった。
9月30日までの期間中に、計183隻が操業を予定している。