米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョセフ・バーミューデス上級研究員=CSISのホームページから

 北朝鮮が最近、原子力潜水艦や早期警戒機など新しい装備を次々に公開しています。米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョセフ・バーミューデス上級研究員は「公開した写真と実際の能力には大きな違いがあるだろう」と語ります。

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 ――北朝鮮は米軍の高高度無人偵察機に似た機体を公開しました。

 北朝鮮は米軍の無人偵察機グローバルホークや無人攻撃機プレデターの形状を模倣したのだと思います。ただ、米国のドローンに搭載されているセンサーや通信機器は長年の経験に基づいて高度に開発されたものです。北朝鮮の機体にもセンサーヘッドとカメラはありますが、中身はわかりません。電子機器を保有している可能性はありますが、米ロ中のドローンほど洗練されてはいないでしょう。

 ――北朝鮮の戦術にどう影響しますか。

 韓国や朝鮮半島の周辺海域まで把握する状況認識能力を向上させるでしょう。ドローンには情報の収集や処理速度を劇的に改善する能力があります。

 ただ、米国はドローンがどこにいても、その情報を衛星を通じて瞬時に把握できます。北朝鮮はまだ(ドローンがどこにいても操作できる)通信衛星を持たず、洗練された通信能力を持っているかどうかも定かではありません。

 もう一つ留意すべき点は、長時間の飛行です。リアルタイムの情報が必要な場合、昼夜を問わず飛行させる複数のドローンが必要になります。

 北朝鮮のドローンが得た位置情報をミサイルなどの装備にリアルタイムで提供することは難しいと思いますが、有事の際、より正確かつ迅速に攻撃することができるようになります。

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