手記を手にする寺越武志さんの妹。何通りもの文章をつづったという=2024年12月25日、金沢市、小崎瑶太撮影

 1963年に能登半島沖へ漁に出た3人が行方不明となり、北朝鮮に拉致された疑いが指摘されている「寺越事件」で、同国で生存が確認された寺越武志さん(75)の妹(72)が手記をつづり、朝日新聞に寄せた。昨年2月に92歳で亡くなった母の友枝さんの思いに触れ、「兄の生活を助ける力を貸してください。国交の無い国に居るからと見捨てないで下さい」と訴えた。

 武志さんは中学2年だった13歳のときに行方不明になった。24年を経て母は訪朝し、妻と3人の子を連れた武志さんと再会。以降も訪朝を重ねた。

 妹から朝日新聞記者に手渡された手記は、リポート用紙7枚にわたる。

 そのなかで妹は、母が武志さんから「今ある私の家庭が壊れるようなことはしないで下さい」と言われたと明かす。母はその後、息子が「拉致被害者」だとは訴えなかったという。「母は何も聞かずに息子を守り、生活を助ける道を選びました」と記した。

 支援団体「救う会」は武志さ…

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