平壌で2024年6月19日、「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩総書記=AP

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアに派遣された北朝鮮兵の戦死情報が相次いでいます。現場ではいま何が起きているのか、今後の安全保障環境に与える影響はどんなことが考えられるか。防衛省防衛研究所の兵頭慎治・研究幹事(ロシア地域研究)に聞きました。

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 ――今回北朝鮮はどんな狙いでロシアに兵士を派遣したのでしょうか。

 まず実利的な要因があります。食料、エネルギー、そして兵士の給与としての外貨、さらには軍事技術。こうしたものが対価として北朝鮮が直接得られる見返りです。それに加えて戦略的なメリットも大きいです。ロシアが軍事的な後ろ盾であることを政治的に米国、場合によっては韓国などに認識させる。朝鮮半島有事の場合にはロシア軍が出てくるかもしれないと思わせる、という狙いです。

 ――北朝鮮兵は今どこでどんな活動をしているのでしょうか。

 ウクライナ領内でも北朝鮮兵が目撃されていて一部技術要員が入っていると言われますが、いわゆる戦闘活動をしているのはロシア領内でウクライナ側が軍事制圧しているクルスク州に限られているとみられます。ゼレンスキー大統領の「3千人」という発言が正しければ、死傷者数は大幅に増えてきています。これはやはり戦闘地域の前線に、より北朝鮮兵を前面に出して戦闘活動に当たらせているということだと思います。

ロシアがクルスク州奪還を急ぐ理由

 ――12月に入って前線での活動が本格化したのですか。

 報道ベースの犠牲者数を見る…

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